COLUMNコラム

Design & Accent ~タイル編/表情と質感~

タイルとはモノを覆う素材として魅力的な建築資材であると、前回のタイル編でお話ししました。

今回はタイルの釉薬(うわぐすり)について少しお話しします。タイルを焼くときに釉薬を塗るか、塗らないかによって、表面の仕上がりが異なります。

タイルの表面に釉薬を施したタイルを「施釉(せゆう)タイル」といいます。釉薬に含まれる顔料により表面に色と美しいツヤを出すタイルやそのもの素材を活かして釉薬を施した物があります。

タイルの素材の色合いを活かして、釉薬を施さないまま焼いたもの「無釉(むゆう)タイル」と言います。粘土に含まれる成分や顔料を焼成する前に練り込み着色するタイルになります。ナチュラルな色味とマットな質感を楽しむことができます。

では、カラーとサイズ、質感を利用してバリエーションの多いタイルを見てみましょう。

洗面台の立ち上がりはテラゾータイルを採用。テラゾーはセメントや樹脂に砕石と顔料を混ぜて塗り付けた後に研ぎ出して仕上げられています。こちらは現代風にアレンジした無釉の磁器質性タイル。タイルチップを練り込んで仕上げた製品のため、自然な表情がプリントタイプにはない素材感を引き出しています。

キッチンからダイニングの壁面には、ライムストーンの柔らかな質感を施釉の磁器質タイルで表現したタイルをセレクト。大判タイルにすることで目地が少なく仕上がり、空間に明るさと広がりをもたらします。

バーリントンストーンと大理石の質感を表現した磁器タイルを土間と廊下に敷き詰めました。大判タイルで覆うことで上質な空間を演出し、さらに、抜けない柱にも大理石調のタイルを巻くことでさらに洗練されたエントランスホールになりました。

空間のアクセントとして床にモザイクタイルを採用。白黒のクラシックなパターンが空間にリズムを生み出し、シンプルな素材と色合いながら存在感のある印象に。見切り材の真鍮も空間をさり気なく引き締めます。

艶のあるタイルに立体感のあるデザインが印象的な洗面台の立ち上がり。壁一面ではなく、あえてアクセント的な使い方にすることでミラーや照明を引き立たせています。ランダムな凹凸が美しい光による陰影を楽しめる空間になりました。

様々な事例を交えて、タイルの表情と質感をみてきました。様々な色・素材・形と質感がタイルの魅力で組み合わせ次第で無限のこだわりを表現できるアイテムです。ぜひ、タイルの奥深い世界を体験してみて下さい。

笠原 圭一郎

ライフディレクション事業部 設計チーム マネージャー / 二級建築士 / キッチンスペシャリスト