COLUMNコラム

マンションの旧耐震基準は危ない?メリット・デメリットを解説

「旧耐震基準のマンションは危ないの?」
「旧耐震基準のメリット・デメリットを知りたい」

そんな疑問をお持ちではありませんか?

本記事では旧耐震基準と新耐震基準の違いを詳しく解説していきます。

また、旧耐震基準のマンションのメリット・デメリットや物件を選ぶ際のポイントも紹介。

気になっている物件が旧耐震基準だった際に、知っておいて欲しいポイントをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。


目次

1.旧耐震基準とは?新耐震基準との違い

現在の日本の中古マンションには『新耐震基準』と『旧耐震基準』、2つの耐震基準があります。

旧耐震基準は1981年(昭和56年)6月1日以前に建てられた物件に対して適用されていた耐震基準で『震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、生活に大きな支障が出ない構造基準』になっています。

一方で新耐震基準は1981年(昭和56年)6月1日以降の建築確認から適用された基準で、『震度6程度の地震に対して建物の損傷はほとんどなく倒壊がない構造』です。

2つの大きな違いは『震度6程度の地震の想定』の部分となっていて、旧耐震基準には震度5までしか想定されていないのに比べ、新耐震基準では震度6程度の地震も想定して建築が行われています。

しかし、一概に「旧耐震基準だから危ない」ということもなく、中古マンションの寿命や耐震性にはマンションの管理状態や建築方法も大きく関わってきます。

2023年の現在では築42年あたりが耐震基準を分ける境目となっていますので、築40年を越えている中古マンションを購入する場合は、耐震基準についてよく確認しておきましょう。

2.旧耐震基準は危ない?

旧耐震基準では震度6以上の地震に対する基準が設けられていないため「危ないのでは?」と考える方も多いのではないでしょうか。

実際に、建物自体の耐震性を考える際、新耐震基準であることは重要なポイントであることは事実です。

しかし、旧耐震基準の建物でも耐震性に配慮した設計がされている物件は多くあり、新耐震基準以上の耐震性を持っているマンションも存在しています。

例えば、築古マンションの代表ともいえる日本に古くから数多くある『団地』は、旧耐震時代に建てられたものも多くあり、阪神・淡路大震災や東日本大震災でも大きな被害を受けずに、いまだに現役で人々の暮らしを守っている物件もあります。

築古の中古マンションは現在主流となっているラーメン構造(柱で支える構造)ではなく、壁構造(壁で支える構造)でつくられていることが多く、頑丈な物件も多いのも特徴です。

耐震基準は物件を選ぶ際に注目すべきポイントではありますが、耐震基準ばかりを気にするのではなく、物件のメリット・デメリットを知り自分にあった住まい選びを行いましょう。

3.旧耐震基準の物件を選ぶメリット

旧耐震基準を選ぶメリットは以下の通りです。

・安価で購入できる
・好立地の物件が多い

順に説明していきます。

(1)安価で購入できる

旧耐震基準の中古マンションは、築年数が経過しているということもあり物件価格を大きく抑えることができるメリットがあります。

そのため、リフォームやリノベーションに費用をかけることもでき、購入後に自分好みの内装に変えることも可能。

物件は購入してからがスタートともいえますので、その後の暮らしを豊かにする面では、旧耐震基準の物件を選ぶのもおすすめです。

(2)好立地の物件が多い

マンションは一般的に利便性の良い土地から建てられていることが多く、旧耐震基準のマンションは比較的好立地に建設されているメリットがあります。

築年数が古ければ古いほど立地や環境に恵まれているため、新築や築浅の好立地物件に比べて価格を抑えながら、利便性のよい土地に住むことが可能に。

特に駅近などは物件価格が高いので、住宅ローンの負担も大きくなってしまうことが予想されます。

旧耐震基準の物件を選ぶことで、負担を減らしながら好立地に住むことが期待できます。

4.旧耐震基準の物件を選ぶデメリット

旧耐震基準の中古マンションのデメリットは以下の通りです。

・耐震性への不安
・共用部分などの設備が劣化している場合がある
・建て替えリスク
・修繕積立金が高い場合がある

順に説明していきます。

(1)耐震性への不安

旧耐震基準の物件は震度6以上の大規模地震が来た場合を想定していないため、地震に対する不安が残るのがデメリットのひとつです。

不安を感じる方は耐力壁という『面』で建物を支える壁式構造の物件を選ぶのがポイント。

実は、柱と梁で建物を支えるラーメン構造よりも、耐力壁で建物を支える壁式構造の方が頑丈で、耐震性にすぐれていると言われています。

また、壁式構造の耐力壁は分厚く断熱性にすぐれていて、冷暖房の効率が高いのも特徴。

分厚い壁で音を遮断するため防音効果も期待できます。

(2)共用部分などの設備が劣化している場合がある

旧耐震基準の中古マンションは、共用部分などの設備が劣化している場合もあるのがデメリットのひとつです。

鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年とされていて、築年数が経過すればするほど建物の状態は劣化していきます。

そのため、経年によってコンクリートのひび割れや中性化、鉄筋の腐食などが進んでしまい、耐久性が損なわれていくことも考えられ、管理や修繕がずさんな中古マンションは寿命も短くなってしまう傾向に。

デメリットを無くすためにも、内見時に共有部分を確認するなど、適切に管理・補修が行われているかを見極めるのがポイントです。

(3)建て替えリスク

旧耐震基準のマンションは、建物や設備がまだ使用できる状態であっても、今後を見据えて新耐震基準に変更したい場合などに建替えが行われることがあります。

建て替えを行う場合、その間に住む場所の確保や負担額などが大きくなってしまい購入後に後悔してしまうことも。

とはいえ、中古マンションの建て替え事例は、国土交通省の発表によると全体の0.27%程度で、非常に少なくなっています。

ただし、購入後に建替えをめぐるトラブルが起こるリスクもあるため、旧耐震基準の中古マンションを購入する際には、事前に建て替えの検討などはされているのかを確認しておきましょう。

(4)修繕積立金が高い場合がある

中古マンションの購入後は、毎月『管理費』と『修繕積立金』を納める必要があります。

修繕積立金は、エントランスなど共用部分を維持・修繕したり、定期的に行われる大規模修繕などのために必要な資金を毎月徴収し、住民全員で積み立てていくお金です。

築年数が経過している旧耐震基準の物件の場合、修繕箇所が多いケースも多く、修繕積立金も高額になってしまうデメリットがあります。

修繕積立金は入居後に金額が上がることもあるため、事前に管理組合などに問い合わせて現在の金額と最後に値上がりしたのはいつかを確認しておくのがおすすめ。

毎月のローン返済額などとも合わせて、無理のない範囲で中古マンションの維持費を計算しておきましょう。

5.旧耐震基準の物件を選ぶ際のポイント

人生における自然災害は地震だけではなく、洪水や台風などその他のリスクもある中で私たちは日々生活しています。

無理して高い物件を選んでも、その後の生活が回らないと意味がありませんよね。

旧耐震基準だからといって最初から排除してしまうのではなく、見極めるポイントや自分の譲れない部分を決めて物件選びを行いましょう。

旧耐震基準の物件を選ぶ際のポイントは以下の通りです。

・立地に注意
・住宅ローン減税の対象か確認
・耐震強度の高い壁式構造で建てられているか

順に説明していきます。

(1)立地・地盤に注意

旧耐震基準の中古マンションを購入する場合は、立地・地盤に注意して選ぶのがポイントです。

実は、地震への強さは立地も大きく影響しています。

2011年の東日本大震災の際、関東地方で液状化現象が発生したため、地盤の重要性が年々注目されるようになりました。

液状化とは、水分を多く含んだ地盤で地震の揺れが加わることより、地中の水分が地表に噴き出す現象を指しています。

地震で地盤が大きく変動するため、地面の上にある建物が沈下したり傾いたりするリスクもあり、いくら建物自体が頑丈でも、地面が大きく傾いてしまえば当然倒壊の危険性があります。

液状化は埋め立て地や砂地、川や沼、水田があったところでおこりやすいため、購入したマンションは過去どんな場所だったのか、立地に注目してみるのがおすすめ。

希望エリアのハザードマップを確認して物件周辺の地盤に関する情報収集ができますので、旧耐震制度の物件を購入する際には事前に一度見ておくようにしましょう。

(2)住宅ローン減税の対象か確認

築40年以上の旧耐震基準の物件でも、耐震補強を行うなどして新耐震基準を満たしていれば、(耐震基準適合証明書が必要)住宅ローン減税の対象となります。

住宅ローン控除は、年末の住宅ローンの残高の0.7%が、10年間または13年間、所得税から控除されるお得な制度です。

耐震基準適合証明書は原則売主(元の所有者)が専門の機関に発行してもらう書類ですので、気になる中古マンションを見つけた際には、この証明書が手元にあるのかを確認しておくと住宅ローン減税を受けることができます。

(3)耐震強度の高い壁式構造で建てられているか

耐震性に不安の残る旧耐震基準のマンションでも、気になる物件を見つけた場合は耐震強度の高い壁式構造で建てられているかを確認してみるのがポイント。

上記でも説明しましたが、壁式構造は現在主流になっているラーメン構造に比べ、重心が低く壁や床で建物を支える構造のため地震の揺れに対して耐震強度が高いことで知られています。

また、適切に管理・修繕を行っている中古マンションの方が長く安心して暮らすことが期待できますので、旧耐震基準の中古マンションでも構造や管理状態を把握して上で選択肢に入れてみると視野が広がるかもしれません。

中古マンションの購入ならFIND

FINDは神奈川県川崎市に本社を構える、リノベーション、リフォーム、不動産売買仲介、空間デザイン、ファイナンシャルプランニング、ホームインスペクションまで行うリノベーション会社です。

また、FINDのリノベーションでは、プランナー、設計士、不動産のプロ、FPがチームになって理想の住まい造りのお手伝いを行わせていただきます。

旧耐震基準の中古マンションを購入する際は、メリット・デメリットを把握した上で自分に合った物件なのか見極めるのが重要です。

FINDでは中古マンションの購入からリノベーションまでワンストップで提供可能。

ワンストップサービスでは中古マンションの状態をプロが判断する『ホームインスペクション』も行っていますので、物件の状態を知った上で選ぶことができます。

中古マンションをプロと一緒に選ぶことでその後の不安を減らし、リノベーションを行うことで今後の生活をより豊かにすることが期待できます。

まずはお気軽にお問い合わせください。

笠原 圭一郎

ライフディレクション事業部 設計チーム マネージャー / 二級建築士 / キッチンスペシャリスト