COLUMNコラム
- 2021.01.18
- ローン
予算と年収
年収額を基に住宅購入予算を決めるのは、間違い!?
マイホームづくりで多くの人の頭を悩ませるのが、やっぱり予算。
この大事な「適正な予算」について調べてみると、「住宅ローンは年収の5倍まで」という文言をよく目にします。例えば、年収が400万円なら使える予算は2,000万円までというメッセージですが、果たしてこれを鵜呑みにしてよいのでしょうか。そこで、今回はマイホームづくりに欠かせない予算の立て方について解説します。
(この記事のポイント)
◎首都圏で注文住宅を購入する場合に必要な資金は5,000万円以上
◎住宅建設の関係者の多くは「予算は年収の5倍」よりも「年間返済額は年収の20%以内」という数字を大切している
◎住宅ローン借入額の目安がわかれば購入できる注文住宅の価格が見えてくる
首都圏の注文住宅購入資金は5,000万円台に突入
以前のブログにも書きましたが、住宅を購入する際、ほとんどの施主は住宅ローンを利用します。住宅ローンの借入額を決めるときの目安として、「年収の5倍説」が掲げられました。こうすると計算がわかりやすくてシンプルだからです。
この「5倍説」を検証する前に、実際の施主たちはどのように予算を組んでいるのか、みてみましょう。
2020年4月に国道交通省 住宅局が発表した「令和元年(2019)住宅市場動向調査」によると、注文住宅の場合、土地+建物の住宅購入資金は全国平均で4,615万円、首都圏の平均は5,239万円でした。
世帯別の平均年収もチェックしましょう。全国平均は744万円、首都圏平均は708万円なので、注文住宅の購入資金は、平均世帯年収の約6.2~7.4倍という結果になります。
この総額を自己資金と借入金でまかなうことになります。
購入資金の全国平均(4,615万円)の内訳は自己資金1,254万円、借入金3,361万円。
首都圏(5,239万円)の内訳は自己資金2,090万円、借入金3,149万円でした。自己資金比率は全国平均で27.2%、首都圏平均で39.9%となります。
購入額をみると首都圏は全国平均を600万円ほど上回っており、自己資金比率も首都圏のほうが高いことがわかります。
住宅の購入予算は、年間の返済額を重視して決める
とても大事な年間返済額は全国平均で123.2万円、首都圏平均で125.2万円と出ており、月平均にすると10万円を少し上回る額です。
ちなみに、同調査の「住み替え前の住宅の月額家賃」によると、全国平均額は約6.5万円、首都圏は少し高くて約7.6万円です。賃貸物件は2年ごとに更新費用が発生することと、首都圏ではファミリー世帯で車を持っている場合、別途駐車場を借りているケースなどもあるので、月平均の返済額と平均家賃の差は大きな開きがあるわけではないようです。
世帯年収に占める年間返済額の割合は、全国平均で約17%、首都圏で約18%です。
上記の統計から大まかに分かることは、家づくりの総予算は「年収の5倍」よりも「年収の20%以内収まる年間返済額」というのが目安になるようです。
住宅ローンは借りられる額ではなく、返済できる額を借りる
金融機関で住宅ローンを組む場合、年間返済額の上限は年収の25~35%で設定されています。
当然ですが、何も考えずに限度額まで借りてしまうと、将来、支出が増えたときに返済が厳しくなることも考えられます。
将来的に大きな支出が見込まれるのは子どもの教育費です。結婚(含:ハネムーン)や出産は周囲のサポートも見込めますが、教育費はそうもいかず、子どもが大学まで進んだ場合の総額は約1,300万円、お子さん2人の場合は約2,600万円になります。
老後の資金も残しておきたいし、保険にもお金はかかります。こうした費用を考慮しておかないと、毎月が火の車という状態になることも想定されます。
このため、住宅ローンは「借りられる金額」ではなく「返済できる金額」で考えることが重要です。
覚えておいてほしいのは、金融機関が設定する年間返済額は、税金や社会保険料を控除する前の額面金額で計算されるということ。このため、年収400万の世帯が返済負担率30%で住宅ローンを借りた場合の返済額は年120万円となります。
実際の年収は税金や社会保険料などを合わせて20%程度が差し引かれるため、年収400万円の世帯の手取り金額は約320万円です。この額に住宅ローンの年間返済額120万年を照らし合わせると、手取り額の37.5%に相当します。
これは、仮に給料が30万円振り込まれても、このうち11万2500円は住宅ローンの返済に充てられることになります。これでも日々のやり繰りはできるかもしれませんが、前述した支出増に対応するのは難しくなります。
しっかり資金計画を立ててくれる、知識豊富な住宅会社に相談しよう
理想的な住宅ローンの年間負担額はいくらなのか。これは、個別のケースに合わせ、将来の展望やマイカーローンといったそのほかの残債などをしっかり考慮する必要はありますが、現実的には手取り額の20%以下を目標とするべきです。
仮に住宅ローンの返済を手取り額の20%に収めた場合の年収別返済額を以下に示します。
年収400万円/手取り320万円/年間返済額64万円
年収600万円/手取り480万円/年間返済額96万円
年収800万円/手取り640万円/年間返済額128万円
これで住宅ローン借入額の目安を大まかに把握することができたのではないでしょうか。この数字を踏まえ、頭金(自己資金)や具体的な金利などを考慮することで、住宅価格の全体像が見えてきます。
すぐれた住宅会社は住宅ローンや住宅ローン控除についての知識も豊富なので、あらゆる疑問をすみやかに解消してくれます。そして、多様な経験とアイデアを生かして、資金面でも多彩なアドバイスをしてくれます。
当社でも資金計画からしっかりとアドバイスをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
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資金計画、FPサービスを得意とするFINDの不動産プランナー。リノベーション向きの物件や、不動産の売却、有効活用方法など、様々な切り口から不動産に関する情報をお伝えします。