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ウォークスルークローゼットとは?|失敗しない選び方や間取りを解説

「ウォークスルークローゼットってどんなものなの?」
「ウォークスルークローゼットのメリットやデメリット、種類を知りたい」

このような疑問をお持ちではありませんか?

本記事では、近年取り入れる方が増えている間取りのウォークスルークローゼットについて、メリット・デメリット、種類まで詳しく解説します。

自宅にウォークスルークローゼットを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。


目次

1.ウォークスルークローゼットとは?特徴を解説

ウォークスルークローゼット(WTC)とは、スペース内を通り抜けて利用できるタイプのクローゼットのことです。

クローゼットはもともと「close=閉める」を語源としており、衣類や生活雑貨を収納するために間取りされた空間で、日本でいう物置部屋や押し入れにあたります。

しかし、ウォークスルークローゼットは、物置部屋や押し入れとは異なり、出入り口を2つ設けることで収納スペースと通路を兼ねた作りとなっているのが特徴です。

ちなみに、ウォークインクローゼット(WIC)は出入り口が1つの部屋タイプであり、物置部屋に近い間取りとなります。

2.ウォークスルークローゼットのメリット

ウォークスルークローゼットを部屋と部屋の間に配置して、どちらの部屋からも出入りできる通路兼収納スペースとして使えるようにすることで、さまざまなメリットがうまれます。

・各部屋のスペースを最大限活用できる
・家事や生活の時短や負担の軽減ができる
・家の中の回遊性が高まり生活がしやすい
・湿気のこもりを防げる
・見せる収納を演出できる

(1)各部屋のスペースを最大限活用できる

大型収納スペースであるウォークスルークローゼットを取り入れることで、個室を広く使えるようになります

例えば、ウォークスルークローゼットをファミリークローゼットとして使う場合、家族の衣類をまとめておくことで個々の部屋にタンスは不要となりますし、季節もののアイテムや習字セットや普段使わないアイテムをまとめておくスペースにすれば、押し入れや棚も不要となります。

(2)家事や生活の時短や負担の軽減ができる

ウォークスルークローゼットがあると、部屋にわざわざ行かなくても、通るついでに必要なものを取ったり片付けることができるため、家事や生活の効率が一気に上がります

たとえば、玄関とリビングの間にウォークスルークローゼットを設置すれば、外出から帰ってきた時に部屋に戻ることなくその場でコートやバッグなどを片付けることができ、外出する時にはそのまま必要なアイテムを取って出かけることができます。

「ながら収納」「ながら片付け」で時短になるだけでなく、ストレスや面倒から解放されることでしょう。

(3)家の中の回遊性が高まり生活がしやすい

ウォークスルークローゼットを設置すると、家事や身支度などの際の動線がスムーズになり、生活がしやすくなります

通路としても使えるウォークスルークローゼットは、部屋と部屋をつなげてスムーズな生活動線を確保できる間取りでもあります。

例えば、キッチンと玄関をつなぐウォークスルークローゼットを設置すれば、買い物から帰ってきてそのまま食料や生活用品を片付け、必要なものだけを取り出すというように無駄なく移動することができます。

(4)湿気のこもりを防げる

ウォークインクローゼットや物置・押し入れと異なり、出入り口が2つあるウォークスルークローゼットは空気の流れが生まれやすいため、湿気のこもりによるカビやダニの発生を防ぐことができます

また、2か所の出入り口から光も取りこみやすく、明るい空間にできるのも魅力です。

収納するものを良好な環境で維持・保管できるのもウォークスルークローゼットのメリットといえるでしょう。

(5)見せる収納を演出できる

ウォークスルークローゼットは配置や収納方法、収納グッズをおしゃれにすることで高いインテリア性を演出し、見せる収納を演出できるのもメリットです。

アパレルショップや雑貨店のように収納することそのものも楽しむことができます。

3.ウォークスルークローゼットのデメリット

魅力的なメリットの多いウォークスルークローゼットですが、デメリットもあります。

・ある程度のスペースが必要
・通路を確保した分の収納量が落ちる
・動線に合わないと使いづらい
・ホコリが溜まりやすい
・場所によっては収納スペースが来客に見られてしまう

ウォークスルークローゼットを取り入れる場合は、デメリットも充分に考慮した上で設置することが重要です。

(1)ある程度のスペースが必要

ウォークスルークローゼットは収納部分と通路部分が必要となるため、ある程度のスペースが必要となります。

人が通り抜けしやすい通路幅は60cm程度であり、取り出しやすさを考えると収納スペースも60㎝程度を目安に設けるとよいといわれています。

そうなると、ウォークスルークローゼットは片側収納なら幅1.2m以上、両側収納であれば幅1.8m以上が必要となります。

ウォークスルークローゼットは、収納スペースと移動するスペース(通路)をしっかり確保しなければ利用しづらくなるため、ある程度のスペースを確保できないならば設置しない方がよいでしょう。

(2)通路を確保した分の収納量が落ちる

ウォークスルークローゼットは収納のほかに通路が必要な分、同じ体積のクローゼットと比べると通路分の収納量が減ることになります。

何を収納したいかをイメージし、通路を設けた上で必要な収納力をカバーできるかを考えて設置しましょう

(3)動線に合わないと使いづらい

ウォークスルークローゼットは設置する場所を間違えると、かえって生活動線が乱れて使い勝手が悪くなるため、設置場所を十分に検討することが必要です。

各部屋との連携、室内での動き・流れを考えて、実際に使うシーンをイメージをして設置場所を慎重に決めましょう

(4)ホコリが溜まりやすい

ウォークスルークローゼットは人が頻繁に通る場所に設置するため、風通しがよくなる分、閉鎖された場所と比べてホコリも溜まりやすくなります。

シーズンオフの衣類や家電など頻繁に使わないものにはカバーをかけたり、お部屋の掃除と一緒に掃除機をかけるようにしましょう

(5)場所によっては収納スペースが来客に見られてしまう

ウォークスルークローゼットは「見せる収納」として楽しめる一方、見せたくないものまで来客に見られてしまうこともあります

見られることを前提にこまめに掃除をし、おしゃれな収納BOXなどを使って「見せる収納」を徹底するか、利便性は落ちますがドアをつけるなどして対処しましょう。

4.ウォークスルークローゼットの種類と特徴と費用

(1)ウォークスルークローゼットの種類と特徴

ウォークスルークローゼットは大別して4つのタイプがあります。

・I型:通路の片側にのみに収納スペースを配置するタイプ
・II型:通路の両サイドに収納スペースを配置し、間を通路にするタイプ  
・L型:角に沿ってL字に収納スペースを配置し収納するタイプ     
・U型:角に沿ってL字に収納スペースを配置し収納するタイプ

それぞれの特徴とメリット・デメリットをみてみましょう。

メリットデメリット
I型・狭いスペースも有効に使えて設置しやすい・WICやII形と比べて収納力が低い
II型・収納力が高い
・「見せる収納」を楽しめる
・ある程度の広さを必要とする
L型・収納を2面設けることができる
・デッドスペースを有効活用できる
・設置場所の選定が難しい
U型・収納を3面設けることができる
・収納力が高い
・設置場所の選定が難しい
・動線が複雑になる

I型は最もシンプルなウォークスルークローゼットであり、収納力は他のものと比べると多少落ちますが、狭いスペースでも設置できるのが魅力です。

II型は両側に収納が可能なため、片側はハンガーパイプを設置、もう片側は棚にするなど使い勝手よくおしゃれに収納ができます。

L型は通路の角や階段下などデッドスペースに通路を使えるため、よりスペースを有効活用したい方におすすめです。

U型は設置場所が難しくなりますが、3面分確保できるため、大量に収納したいものがある方に最適です。

(2)ウォークスルークローゼットの費用相場

リノベーションでウォークスルークローゼットを新たに設置する場合、費用の相場は20万円~50万円程度です。

状況や工事内容、大きさによって変動するだけでなく、棚やハンガーパイプの設置、扉の取り付けなどを行う場合は、さらに追加コストが必要となります。

5.失敗しないウォークスルークローゼットの選び方のポイント

ウォークスルークローゼットはデメリットをに注意して、生活スタイルや動線に合わせて設置できれば、日常の快適性を一段と高めてくれる有益な間取りとなります。

ウォークスルークローゼットの設置で失敗しないためにも次の5点を確認して選びましょう。

・家族の生活スタイル・生活動線を考えて設置する
・棚の奥行を深くしない・棚を固定しない
・水回り付近の設置には注意が必要
・扉の有無も検討する

(1)家族の生活スタイル・生活動線を考えて設置する

ウォークスルークローゼットは家族の生活スタイルや生活動線を考えて設置しましょう。

設置場所を間違えると、生活動線がかえって混乱し、暮らしにくくなります。

毎日の暮らしでどのように動くことが多いかを考えて設置前に動線の十分な検討をして設置しましょう

(2)棚の奥行を深くしない・固定しない

ウォークスルークローゼットは棚の奥行を考えて設置し、固定棚にしないようにしましょう。

棚の奥行を深くすると、使い勝手が悪くなるだけでなく、スペースもさらに大きく取らなければならなくなる、ホコリや湿気が溜まりやすくなるなどの問題が起こりやすくなります。

逆に、奥行きのあまりない棚だと必要なものを収納できなくなることも考えられるため、棚の奥行は出し入れしやすさを考えて決めましょう

また、棚も固定タイプではなく、可動式にすると収納するものに合わせて無駄なく収納ができるので便利です。

(3)水回り付近の設置には注意が必要

ウォークスルークローゼットを水回りの付近に設置する時には注意が必要です。

出入り口は2つあるため、空気の流れが生まれてカビやダニが発生しにくい構造となっています。

それでも、バスルームや洗面所など水回りの横に設置する場合、入浴後など湿気が大量に発生する場合はウォークスルークローゼットにも湿気が溜まりやすくなり、こまめな換気やサーキュレーター・扇風機の稼働、クローゼット用の調湿材等での手入れが必要となることもあります。

カビやダニが気になる方は、できるだけ水回りから離して設置するようにしましょう

(4)扉の有無も検討する

ウォークスルークローゼットは扉をつけるかつけないかを慎重に検討しましょう。

ウォークスルークローゼットは、扉をつけないタイプと扉をつけるタイプが選べます

「見せる収納」を楽しみたい方や、カビなどが気になる方、スムーズに移動したい方は、扉をつけないオープンタイプがおすすめです。

なるべく収納部分を人にみられたくないという方は、扉をつけたほうが安心できることでしょう。

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海老澤 知絵

ライフディレクション事業部 設計チーム / 一級建築士 / 既存住宅状況調査技術者