COLUMNコラム
- 2022.10.19
- 税金
リフォームで贈与税はどのくらいかかる?非課税枠とその仕組を解説
「両親からの援助を受けてリフォームをしたいけど、贈与税はかかる?」
「子供が親のリフォーム資金を援助したときの贈与税ってどうなるんだろう。」
という疑問をお持ちではありませんか?
贈与税とは『個人から財産をもらったときにかかる税金』として年間110万円以上を超える財産をもらった時に発生する税金です。
本記事ではリフォームで贈与税が必要になる場合と非課税枠について詳しく解説しています。
また、贈与税で支払わないといけない税金の金額や申請方法についても紹介。
リフォームを行う際に、贈与税について不安な方はぜひ参考にしてみてください。
目次
1.リフォームは贈与税の非課税枠が最大1000万円
贈与税は基本的には110万円以下が非課税になりますが、リフォーム等の住宅工事に資金を利用する場合は『直系尊属(子・孫など自分より後の世代で直通する系統の親族のこと)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度』というものが使用できます。
直系尊属(両親や祖父母)から、住宅の購入等を目的として援助を受けた場合には最大1000万円までが非課税に。
1000万円の中には、増改築にかかる費用も含められるのでリフォームに使用することも可能です。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度を利用する場合には、以下の条件や住宅の性能について制限がありますので注意しましょう。
(1)省エネ住宅の場合、非課税額は最大1000万円
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度を利用した場合は、家の性能によって非課税額が変わってきます。
省エネ住宅の場合は1000万円、それ以外の住宅は500万円までが非課税になる仕組みになっています。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度での、省エネ住宅の定義は以下のいずれかに適合する住宅を指しています。
・断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること ・高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること |
上記に当てはまった場合には、住宅性能証明書などの書類を贈与税の申告書に添付することで1000万円の非課税制度を利用することが可能に。
省エネ住宅に関する工事費用の贈与を受けた場合、1000万円以下なら税金をかからずに受け取れます。
省エネ住宅をお考えの際は、非課税枠の対象になるのかをリノベーション会社と相談しながらリフォームプランを考えるのもおすすめです。
(2)最大1000万円の非課税枠を利用できる受贈者の要件
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受ける場合には、以下の項目に受贈者が当てはまっている必要があります。
・贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること ・贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること ・贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1000万円以下)であること ・平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと ・自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。 ・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること ・贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること |
成人年齢の変更に基づき、令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」以上であることが条件になっています。
文面を見ると難しく感じてしまうかもしれませんが、簡単にまとめると『成人以上で非課税制度を利用したことのない所得が一定以下の人』が基本的な条件になります。
また、親族が保持していた不動産を取得した際には非課税制度は適用されませんので注意しましょう。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度を利用する際には、翌年3月15日までにリフォーム工事等を行っていることが条件になっていますので、期日も確認しておくと安心です。
(3)贈与税の非課税を利用できるリフォーム工事
贈与税の非課税枠を利用できるリフォーム工事の種類は、以下のものがあります。
・耐震リフォーム ・省エネリフォーム |
また、リフォームで贈与税の非課税を受ける際には、以下の要件に当てはまっているかも確認しておきましょう。
・リフォーム費用100万円以上 ・リフォーム後の家の床面積が、50㎡以上240㎡以下(マンションなどについては専有部分) ・リフォーム後の家の床面積の1/2以上が居住用 ・贈与を受けた年の翌年3月15日までにリフォーム工事を完了させ、原則同日まで、遅くとも12月31日までには居住する ・リフォームを行う本人が所有かつ居住する家屋であること |
贈与税の申請時期は翌年2月1日から3月15日です。
遅れてしまった場合には、延滞金が発生することもありますのでなるべく早めに申請を行いましょう。
2.リフォームで贈与税に注意したいケース
リフォームで贈与税を利用する時には、以下のケースに注意しましょう。
(1)共有名義住宅のリフォームをしたいケース
共有名義住宅のリフォームで、非課税制度を利用したいとお考えの方は事前に持分割合を確認しておきましょう。
例えば、両親と子供で持分割合は3:7なのに対して、リフォーム費用は7:3で支払ってしまった場合には両親が多く支払っている費用部分に贈与税が加算されてしまいます。
共有名義の住宅リフォームを行う場合は、節税対策を意識して持分割合を変更しておくのがおすすめです。
築年数の経過している物件の場合は、住宅の価値も下がっているのでリフォームをする前に建物の名義変更を行った方が安く済む場合もあります。
20年を超えた住宅の固定資産税評価額は数百万円程度に下がるといわれていますので、名義変更を行う時にかかる税金も安く抑えることが可能に。
また、建物の名義変更の贈与税対策には最大2500万円までを非課税にできる『相続時精算課税制度』が利用可能です。
簡単に説明すると、相続時精算課税制度とは『祖父母や両親等が子供や孫へ相続の前に生前贈与を行う際に利用できる節税制度』です。
60歳以上の親(祖父母)から18歳以上の子(孫)に対して贈与した場合に適応が可能で、最大2,500万円までが非課税として特別控除されます。
1つ注意しておきたいポイントは、相続時精算課税制度を利用した際には110万円の贈与税非課税枠は併用が出来ないことです。
2500万円までを非課税で利用できる節税効果の高い制度ですので、リフォームの際等に大きい金額の贈与を受ける場合には検討してみるのがおすすめです。
うまく制度を利用しながら、賢く節税してリフォームを行いましょう。
(2)子供が親のリフォーム費用を負担するケース
子供が親の「リフォーム費用を負担したい」と考えた場合も年間110万円以上を超えると贈与税が発生します。
受贈者である両親に対する節税制度は特に無いのに加えて、両親の死後は財産として更に相続税が必要になってしまいます。
上記のケースでの、贈与税を減らす節税対策は以下のものがあります。
・リフォーム前に両親の家の名義を子供にしておく ・相続時精算課税制度を利用して家を子供に贈与する |
両親から家を贈与された場合には、相続時精算課税制度を利用でき最大2500万円まで贈与税を非課税にすることができます。
1つ、注意しておきたいのが相続時精算課税制度は将来贈与者が亡くなった際には2500万円を超えた部分に対して贈与当時の時価で相続税がかかってくる点です。
住宅の評価額により贈与額が2500万円を超えてしまった場合には、相続時に税金が発生する場合もあります。
両親のリフォーム費用負担をお考えの方は、1度固定資産税評価額を確認しておくと安心です。
(3)毎月のリフォームローン返済を親がしていた場合
毎月のリフォームローンを親が返済していた場合にも、年間110万円を超えてしまうと贈与税が発生します。
また、毎年110万円以下であっても長年に渡って贈与を続けていると贈与税がかかってしまう場合も。
例えば、毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利(10年間にわたり100万円ずつの給付を受ける契約に係る権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかるケースがあります。
要約すると、『定期的に長期間贈与を渡す約束をしていた場合は、110万円以下であっても税加算の対象になってしまう』ということです。
上記のケースを回避するには、毎年新たに贈与契約を結び年間110万円以下であることを証明しておくことで贈与税の対象にならなくなります。
また、何年にも渡って毎年贈与を受ける場合には、相続時精算課税を選択し申告を行っておくことで2500万円以下まで非課税で贈与を受けることが可能に。
贈与税の仕組みを正しく理解しておくことが、節税をするためのポイントになりますよ。
3.贈与税はいくらかかる?
贈与税の税率は、金額ごとに区別されています。
以下の表を参考に、贈与を受ける額の税率を把握しておきましょう。
【一般贈与(直系尊属以外から贈与を受けた場合の税率)】
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1500万円以下 | 45% | 175万円 |
3000万円以下 | 50% | 250万円 |
3000万円以上 | 55% | 400万円 |
【特例贈与財産用(直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により取得した財産に係る贈与税)】
※贈与を受けた人が18才以上の場合のみ
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | – |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1500万円以下 | 40% | 190万円 |
3000万円以下 | 45% | 265万円 |
4500万円以下 | 50% | 415万円 |
4500万円以上 | 55% | 640万円 |
2つの表を見比べてみると、特例贈与財産用の税率の方がゆるやかに設定されていることが分かります。
参考までにリフォーム資金として500万円を受け取った際の税金を、一般贈与と特別贈与で計算すると以下のようになります。
『一般贈与の場合』 基礎控除額の課税金額 500万円−110万円=390万円 贈与税額の計算 390万円×20%−25万円=53万円(贈与税) 『特別贈与の場合』 基礎控除額の課税金額 500万円−110万円=390万円 贈与税額の計算 390万円×15%−10万円=48.5万円(贈与税) |
贈与を受けた金額から非課税額の110万円を引いた額に、税率と控除額を入れて計算することで贈与税は決定されます。
贈与税はリフォーム費用によって大きくかかってくる場合もありますので、贈与を受けてリフォームをしたいとお考えの方は『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度』や『相続時精算課税制度』をうまく利用しながら節税対策を行いましょう。
4.贈与税を申告する方法
年間110万円以上の贈与を受けた場合は、非課税の枠内であっても確定申告が必要です。
贈与税の申請は、贈与を受けた翌年2月1日から3月15日の間に必ず確定申告を行いましょう。
「ばれないから大丈夫」「非課税の枠内だから平気かな」と考えていても、住宅購入時の登記や、相続時の税務調査等で後から発覚してしまうケースも少なくありません。
贈与税の確定申告時に必要なものは以下の通りです。
・贈与税を受ける人の所得金額が記載された書類 ・戸籍謄本 ・戸籍附票の写し ・住民票の写し ・売買契約書 ・計算明細書 |
増改築等のリフォームを行った場合には『増改築工事証明書』と『リフォーム工事瑕疵保険付保証証明書』も追加で用意しておきましょう。
書類が多く悩んでしまったり、確定申告を行ったことがなく不安な方はリノベーション会社に相談するのもおすすめです。
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ライフディレクション事業部 設計チーム / 一級建築士 / 既存住宅状況調査技術者