COLUMNコラム
- 2021.07.15
- ローン
「中古物件購入+リノベーション」で住宅ローンを利用する場合の注意点
中古物件を購入後にリノベーションを行う施主が増えています。場所やコストを優先しながら、ライフスタイルに合致する住空間を手に入れるスマートな方法ですが、無理のない返済計画を立てないと、当初の予算を大幅に超えてしまう結果を招くことも。
そこで、今回は「中古物件購入+リノベーション」で住宅ローンを組む際の注意点について解説します。
目次
この記事のポイント
◎金融機関は建物の耐用年数を調査したうえで融資条件を決める
◎物件の担保価値は借入金額の上限決定に影響する
◎物件購入とリノベーション費用をまとめた一体型の住宅ローンの利用はメリット豊富
中古物件の購入時には耐用年数を必ずチェックしよう
中古物件の購入時に、住宅ローンと関係してくるのが建物の築年数です。なぜなら、銀行をはじめとする金融機関は、融資審査の際に建物の「耐用年数」を調査するからです。
耐用年数とは「減価償却資産が利用に耐える年数」のことで、国税庁では、木造住宅なら築22年、鉄筋コンクリート等の住宅なら築47年と定めています。これは税法上の「減価償却資産の耐用年数」であり、建物の「使用に耐えうる期間」ではありませんが、融資審査における基準の一つとして採用されています。したがって、この年数を超えた建物の評価はゼロとなり、融資条件はネガティブになります。
ネガティブというのは、端的にいうと借入期間を短く設定されること。例えば、30年の借入期間を希望しても、20年あるいは15年に制限される可能性があります。これでは月々の返済額がはね上がってしまい、将来の計画にも調整が必要となるでしょう。価格や立地だけでなく、耐用年数までしっかり考慮することが将来の安定性につながります。
借入金額の上限は物件の担保価値に影響される
中古物件が耐用年数を超えていない場合でも、新築物件と比較して借入金の上限が低くなる可能性があります。一般に、借入金の上限は担保価値の140%までとされています。担保価値とは、何らかの事情で住宅ローンの支払い継続が困難になった場合に物件を売却して得られる対価のこと。借入金の上限はこの担保価値に影響されるため、中古物件は、同じ敷地に立つ新築物件と比較した場合、当然低く見積もられるというわけです。また、担保価値は「時機を待たずに得られる価値」として算出するため、市場価格よりも少し抑え気味になります。中古物件の場合、あれこれ検討する期間が短くなるのも特徴の一つです。売り主の状況にもよりますが、中には購入を決断して1か月後には引き渡しとなるケースもあります。1か月の期間内にどの金融機関に住宅ローンを申し込むのか、リノベーションはいつ実施するのか、リノベのローンはいかに組むのか、設計・施工はどこに任せるのかといったさまざまな案件の決断を迫られます。これでは仕事に支障が出てしまうというのが施主の本音でしょう。
パニックになる前に、金融機関やファイナンシャルプランナー、あるいは地元で信頼できるリフォーム会社等のスタッフに相談して、「この場合はこうする」というプランを決めておくとよいでしょう。
住宅購入とリノベーション費用をまとめた一体型の住宅ローンがある
ここからは具体的な商品について解説します。
まず覚えておきたいのは、住宅ローンとリノベーションに必要なリフォームローンはまったく別の商品であるということ。住宅ローンは金利1%前後、返済期間30~40年、借入可能額約100万~1億円程度であるのに対し、リフォームローンは金利2~3%、返済期間1~20年、借入可能額50~1000万円程度に設定されています。
施主の中には、先にお目当ての中古物件を購入し、じっくりとプランを練って数年後にリノベーションをしようと考える人もいるでしょう。この場合、物件購入時の住宅ローンを継続利用しながらリフォームローンを申し込むことになりますが、抵当権を設定し直す必要があるため、多くの書類に記入する手間に加えて司法書士への手数料の支払いなどが発生します。また、住宅ローンとは別の金融機関にリフォームローンを申し込む場合には、住宅ローンの返済に加えてリノベーション費用まで返済可能かどうか厳密に審査されるため、借入を断られる可能性も出てきます。
中古物件購入とリノベーションを同時期に行えば、こうしたリスクを避けることができます。この場合は、住宅購入とリノベーション費用をまとめた一体型の住宅ローン利用がお勧めです。
物件探しからリノベーションまで一括で依頼すればメリットは大きい
リフォーム一体型住宅ローンは、物件の購入だけでなく、リノベーション費用もまとめて借入できるローンです。このローンの大きなメリットは次の2点に集約できます。
・住宅購入とリノベーションを合わせた借入額の上限を大きく設定している銀行が多い。その分、返済は35年などの長期間で、しかも金利は1%程度と低く抑えられている
・利用するローンを1つに絞っているので、住宅ローンとリフォームローンを組み合わせた場合に比べて諸費用や手間を軽減できる
このようにメリットは豊富ですが審査は厳格で、年収や返済能力に応じて借入可能額が決まります。これに加えて、「ローンを申し込むタイミングでリノベーションにかかる費用が明らかになっていること」という制約があります。このため、金融機関はリノベーションに関する「工事請負契約書」や「工事見積書」などの提出を求めるのが一般的です。この時点で「とりあえず物件を購入してからリノベーションを考える」という計画では一体型住宅ローンの恩恵を受けられないことになります。そこで浮上するのが、「信頼できる住宅会社に相談して中古物件探しからリノベーションまで一括で依頼する」プランです。昨今では、ワンストップ・リノベーションサービスと呼ばれています。
「中古物件購入+リノベーション」体験談
Iさんご夫妻は、共に会社員として働き、30代半ば。ご家族は夫婦2人。FINDに物件購入とリノベーションの相談に訪れ、2年前に神奈川県の中古マンション(建物面積94㎡)を購入してリノベーションし、居住中です。今回は、Iさんご夫妻に、中古物件購入とリノベーションの体験談をうかがいました。
中古物件購入からワンストップでサポート
理想的な物件がみつかってからすべてが動き出すので、それまで住宅ローンについて心配する必要はありません。また、経験豊富な住宅会社であれば一体型住宅ローンの申し込みサポートも万全で、書類の書き方まで懇切丁寧に教えてくれます。
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ライフディレクション事業部 設計チーム マネージャー / 二級建築士 / キッチンスペシャリスト