COLUMNコラム
- 2021.08.15
- 不動産
総戸数の少ない中古マンションの購入は要注意
中古マンションの購入時は金額や築年数、間取り、安全性、周辺環境ばかりに着目してしまいがちです。しかし、マンションの「総戸数」にも着目してみてください。永く住み続けることを想定すると、総戸数は必ずチェックしたい重要項目の一つなのです。そこで、今回は総戸数の少ない中古マンションを購入する際のチェックポイントについて解説します。
目次
この記事のポイント
・総戸数が10戸以下の小規模マンションの問題点は、①修繕積立金や管理費の合計額が少ない、②管理組合のモチベーション低下の2点に
・小規模マンションの住民は管理組合へのモチベーションが低いケースが多く、どうしても管理組合任せになりがち。
・規模の小さすぎるマンションは住民の交流が少なくて要注意。ねらい目の総戸数は30~40戸以上の中古マンション。月々の管理費・修繕積立金の額についてもチェックしよう。
小規模マンションでは修繕積立金の少なさが大きな課題
総戸数とは、マンションに入っている戸数がいくつあるのかを示した数字のこと。再開発が進むエリアには数百戸におよぶ大規模マンションが立ち並んでいますが、主要駅から少し離れると総戸数が10戸前後という小規模マンションも珍しくありません。
こうした小規模マンションの問題点は、①修繕積立金や管理費の合計額が少ない、②管理組合のモチベーション低下の2点に絞られます。
修繕積立金や管理費の合計額が少ない
まず、①からみていきましょう。戸数が少ないのですから、修繕積立金や管理費の合計額が少額になるのは当然といえます。逆に、ここをカバーしようとすると、修繕積立金や管理費が高額になってしまいます。管理費が少ないと清掃が行き届かなかったり、自転車置き場が乱雑になったりしますが、これは住民の日ごろの気づきや努力などで改善できる可能性もあります。
最大の問題は修繕積立金で、10数年ごとに実施する大規模修繕の費用を積立金だけでは支払いきれず、追加費用を住民で負担するケースあること。
とくに近年は予期せぬ自然災害が発生するケースが増えており、その影響でマンションのどこかが傷んだ場合はすぐに修繕する必要があります。しかし、災害がたび重なると積立金だけではカバーしきれなくなり、この場合も追加費用を徴収される可能性があります。
1棟に数百戸が入居するような大規模マンションなら追加費用も少額ですむでしょうが、小規模の場合はそれなりにまとまった金額が必要になるというわけです。
マンション管理を管理会社任せにすると、何かと行き届かないケースがある
次に②の「管理組合のモチベーション低下」を見てみましょう。マンション管理組合の役員の決め方には立候補、推薦、数年ごとの持ち回りなどがありますが、小規模マンションの場合、個人の役割が大きくなってしまうせいか、マンション管理は「管理会社に全部お任せ」となりがちのようです。
この場合は修繕積立金や管理費の使いみちが見えづらくなり、修繕が必要な箇所がいつまでも直らないといった事態も発生します。そうなると美観が損なわれ、入居者が次第に減っていき、修繕積立金も減少……といった、負のスパイラルに。マンション自体の価値も下がってしまうというケースも想定されます。
一方で大規模マンションの場合は、管理組合が一大コミュニティになるため、修繕積立金や管理費などで扱う金額も大きく、やりがいを感じて管理組合に入ってくる人も多いそうです。資金が大きいため、運用に関しても実績のある人が役員として業務に当たることになります。大規模修繕を行う際も戸数が多いので、各世帯の負担は抑えられます(修繕の内容にもよりますが)。
管理組合がしっかりすれば、入居者同士の交流も活性化して全体の雰囲気も明るくなり、マンション価値の向上まで期待できます。
修繕積立金額は適正か、次の大規模修繕はいつかなど細かくチェックしよう
修繕積立金は適正か
規模の小さすぎるマンションは修繕積立金や管理費が小さく、管理組合の活発な動きも期待できません。そのため、新築の時は良くても、長い目で見た時に管理の面でコスト的な不安があります。ねらい目の総戸数は、30~40戸以上の中古マンションです。
月々の管理費・修繕積立金の額についてもチェックしましょう。専有面積70㎡程度の中古マンションでは管理費・修繕積立金ともに1万4,000円程度(合計で3万円以内程度)が妥当と考えられています。年間では33万6,000円ですから、決して小さい額ではありません。
この金額より大きい場合は、管理組合が正常に機能しているかどうかを検証する必要があります。反対に下まわる場合は、近い将来、値上がりを計画していないかどうかを確認しましょう。
大規模修繕の実施時期をチェック
前回の大規模修繕がいつ行われたのかも気になるところです。しっかりした管理組合のあるマンションは、長期修繕計画をまとめた書面を用意しているので、前回はいつ実施したのか、次回はいつ実施予定なのかを自分の目で確認できます。
こうした細かな点のチェックを怠ると、急に管理費や修繕積立金の値上げを伝えられたり、管理組合の役員ばかりがよい目をみているような疑心暗鬼にとらわれたりします。こうしたリスクを避けて快適な日常を送る意味でも、購入前に「マンションの管理」という視点も加え、細かな点までチェックすることをお勧めします。
小規模マンションのメリット
ここまで、戸数の少ないマンションのリスクやチェックポイントについて、ご紹介してきました。確かに、小規模ゆえの課題や注意点があありますが、メリットは無いのでしょうか。
最後に、小規模マンションのメリットについても、少し触れたいと思います。
住民同士が近く、安心感を感じやすい
小規模マンションのような、比較的小さなコミュニティの場合、住人同士がよく顔を合わせる事となります。
敷地や、建物自体の廊下部分が少ないので、大規模マンションに比べて物理的な距離が近いと言えます。
定期的に開催される管理組合の総会などでも、同じことが言えるでしょう。また、部外者についても気が付きやすくなるため、防犯の面でも安心感が得られやすいです。
共用設備が少なく、修繕費を抑えられる
一般に、小規模マンションの場合は、共用設備が多くありません。大規模マンションに見られるような、立体駐車場やフィットネスルーム、集会スペースなどはほとんどありません。
不便に感じる場合もあるかもしれませんが、これらには、固定費として多くの費用がかかります。
小規模マンションの場合は、エレベーターも最低限ですし、ゴミ捨て場のために広いスペースを確保する必要もなく、マンション運営の観点では経済的・効率的と言えます。
地域密着で不動産サービスを提供するFINDだから、具体的な情報を提供できる
今回は、総戸数の少ない中古マンションを購入する際の注意点について解説しました。小規模マンションのすべてがネガティブなわけではなく、住民サービスの行き届いた小規模マンションも中にはあると思います。あくまで相対的に判断して、総戸数30~40戸以上のマンションをねらい目としています。
中古マンションを購入する場合、現在の管理状態、これまでの修繕履歴、今後の修繕計画や修繕積立金や管理費の滞納状況など、十分に確認をする必要があります。
FINDでは、中古マンションを安心して購入していただくために、十分に物件を調査し、ご報告しています。
一緒に、理想の住まいを探していきましょう。
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資金計画、FPサービスを得意とするFINDの不動産プランナー。リノベーション向きの物件や、不動産の売却、有効活用方法など、様々な切り口から不動産に関する情報をお伝えします。